【金融工学偉人】エドワード・オークリー・ソープ

金融工学偉人

エドワード・ソープはブラックジャックの必勝法を証明し、金融工学者としても大成した人物である。
「クオンツの元祖」、「伝説の投資家」などと呼ばれている。

ソープの人生

エドワード・オークリー・ソープは1932年、アメリカのシカゴで生まれた。父親は陸軍将校でしたが大恐慌の中退役したため、生活は厳しかった。

UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で物理学を学び、数学で博士号を取得した。

1959年(27歳)春学期は一時的にUCLAで数学を教えることになり、図書館でカジノについての論文を目にする。その時、急に「ブラックジャックには必勝法があること、それを証明する道が、両方分かった」と後に語っている。

ブラックジャックに惹かれたことについて次のように述べている。

  • お金が理由ではない
  • 部屋にこもって考えているだけで勝ち方を見つけられるかもしれないから
  • 全く何にも知らないギャンブルの世界を探求したら面白いと思ったから

その後、カウンティングを用いることで長期的にはプレイヤーが勝てることをコンピュータで導き出した。

1960年、いち早く論文を投稿するために「米国科学アカデミー紀要」で発表することにし、MITにいる数学者で唯一の会員である情報理論の父クロード・シャノンに承認を依頼し、承認を得ることができた。

1962年、ブラックジャックの必勝法である「カウンティング」について説明した『ディーラーをやっつけろ!』を出版し、70万部を売るベストセラーとなった。

その後、シャノンとルーレットに関する研究を行うが、必勝法と呼べるものを見つけることはできず、また、カジノを敵に回していたため身の危険を感じたソープは、研究対象をカジノではなく金融市場に変更した。

1964年から市場について学び始め、1965年郵便でワラントに関する小冊子が届き、読み進めるうちにワラント価格と株価を結ぶ法則について気づき、「ヘッジ」をすることでリスクを抑えて儲けることができることを思いついた。

実際にヘッジ取引を行い、年25%の利益を挙げ、1967年シーン・カッスーフとともに『市場をやっつけろ』を出版し、ヘッジ戦略について発表した。

同年、ワラントの「正しい」価格を求める簡潔な公式にたどり着いた。これはのちにブラックショールズモデルと呼ばれるようになる公式と全く同じものであった。つまり、ブラックショールズモデルが発表されるよりも前に導き出していたことになる。

1969年、コンバーティブル・ヘッジ・アソシエイツ(のちにプリンストン・ニューポート・パートナーズに改名)というヘッジファンドを設立し、好成績を残したソープはのちにこう語っている。

この取引でもその他何千もの取引でも、私たちを導いてくれたのはフランスの数学者ルイ・バシュリエが博士論文に書いたものがもとになった公式だった。

天才数学者、ラスベガスとウォール街を制す(上)

1987年12月17日(木)、プリンストン・ニューポート・パートナーズのオフィスに国内歳入庁、FBI、郵便局の人たちが強制捜査に入り、ジャンク債の帝王と呼ばれたマイケル・ミルケンが関連する脱税事件に巻き込まれて評判を落とした。

1988年にプリンストン・ニューポート・パートナーズの活動を停止することになった。

カウンティング

ソープが発見したブラックジャックの必勝法「カウンティング」は、ゲームを繰り返し行う際に、都度場に出たカードを記憶することで、次に出やすいカードを予想するというものである。

例えば、場に絵札が連続して出た場合は次に絵札が出る確率は低くなる。

この手法は理論的に長期的には必ず勝つことが証明されており、カジノでこの方法を実践するとカジノは負けてしまうため、長期的には破産してしまう。そのため、カジノで実践すると出入り禁止になってしまうところがほとんどである。

カジノは営利企業なので儲けるためにプレイヤーを選ぶことができる。人種などで差別することはできないが、禁止している行為を行うプレイヤーを出入り禁止にする権利はある。

カウンティングについては世界のヨコサワさんの動画が分かりやすい。

カウンティングを実践する際は、適度にカウンティングをしていないように装うことが重要である。『ブラックジャック必勝法』著者の齋藤 隆浩さんは次のように語っている。

カード・カウンティングをマスターした人にとってブラックジャック自体で儲けることは簡単なことです。難しいのは、いかにカード・カウンティングをしているということをカジノ側に発見されずにプレーし続けることができるかということなのです。(中略)実はこのカモフラージュこそがカード・カウンティングの醍醐味なのです。

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参考文献

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